天地創造・・・そして、そう成った
交響曲の父、ハイドン晩年のオラトリオの大作で、演奏時間約2時間。大合唱が入るのでそれを楽しみにしていたが、もうひとつの楽しみは、ソリストに私の贔屓にしているソプラノ歌手マリン・ハルテリウスが出演すること。
彼女はチューリッヒ歌劇場の専属歌手で、NHKハイビジョンで時々放映される同歌劇場オペラを観て、ファンになっていた。一昨年のチューリッヒ歌劇場の日本公演でも、大好きな「薔薇の騎士」のゾフィー役で素敵な歌を聴かせてくれた。タイトルロールを歌う華麗なプリマドンナではないが、美しく清純な美声を持つ名脇役といってよいだろうか。なにより、ごらんのような美人である。
「天地創造」では、天使ガブリエルとイヴ役を歌ったが、その美声に聞きほれた。「薔薇の騎士」でも感じたことだが、やや線が細いものの女性らしさを美しく表現できる数少ないソプラノのように思える。
終演後、サインをもらおうと楽屋口に押しかけた。既に列が出来ていて、ややお宅っぽいクラシックファンが並んでいる。さすがにいつもはこんなことはしないのだが、ハルテリウスと会えるのなら・・・・・恥ずかしさ半分で列に並んだ。大方はバリトンのデイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンが目当てのようだが、私はためらうことなくハルテリウスのところへ。片言の英語で賛辞を述べ、持参した鎌倉豊島屋の「ジャパニーズ・トラディショナル・キャンディー」をプレゼントし、握手をしてもらった。もちろん、サインも。幸せである。
さて、「天地創造」についても少し触れよう。旧約聖書にあるように、神が天地を創造する様が描かれたオラトリオだが、いかにもハイドンらしく明るく楽天的な楽曲である。三部構成で、第三部では、アダムとイヴの会話が楽しく語られる。自然や動植物の動きなどが描写的に扱われている部分もあって、聴いていて楽しい。そして日本を代表する栗友会の合唱の見事さ。厚みのあるハーモニー、子音の明瞭さなど学ぶところは多い。ホール入口で配っていた演奏会のパンフレットにシティフィル=シティコアが天地創造を採り上げるとのこと。うらやましい。私も一度は歌ってみたい曲である。
大切なことを忘れていた。指揮はバロック音楽(最近は古典~ロマン派も振る)の巨匠フランス・ブリュッヘン。齢70を超え、痩躯な体ながら、楽曲からほとばしるパッションは見事である。歩行にも困難が伴うようだが、何回もカーテンコールに応じていた。もう10年前にもなるだろうか、同じトリフォニーホールで、バッハの三大宗教曲の連続演奏会があり、ブリュッヘン、ヘレヴェッヘ、クリスティー(だったと思うが?)を聴きくらべたことを思い出した。
オーケストラは対向配置による、ノンビブラートのピリオド奏法。もちろんモダン楽器だが、日本のオーケストラもノンビブラート奏法が上手くなった。
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